健康経営とは、企業が従業員の健康管理を経営課題としてとらえて積極的に改善に取り組むことです。
従来、健康管理は従業員個人が実施するものと考えられていました。
しかし、従業員の健康保持・増進が企業全体のパフォーマンスに大きく影響することが明らかになり、健康経営は会社を成長させる投資であるとされ、健康経営に取り組む企業が増加しています。
ただ、それでもまだ健康経営を進めている企業は多くないのが現状です。
なので、今回は健康経営が注目される背景を紹介します。
1. 少子化による生産年齢人口の減少と、人手不足
中小企業庁によると日本の生産年齢人口は、年々減少しており、1995年から2015年で約1000万人も減少しています。
→この人手不足は今後も深刻化が予想されるため、企業が従業員の心身ともに健康で長く働いてもらう取り組みが不可欠なのです。
2. 従業員の健康状態が会社の実績や生産性に与える影響が科学的に証明されてきた
今までは従業員の健康と企業全体の生産性の関係を、科学的に証明した研究があまりなかったため、健康と経営を結びつける発想がありませんでした。
しかし、「健康経営」の概念を提唱したアメリカの臨床心理学者のロバート・ローゼンが、数多くの企業の事例を分析・調査して、心身ともに健康な従業員が多い会社ほど組織全体のパフォーマンスが高いことを明らかにしました。
3. ワークライフバランスが社会的な課題として注目されてきた
内閣府が働き方改革を推進する中でワークライフバランスの実現を掲げました。
さらに、健康経営に取り組む会社・法人を顕彰する、健康経営優良法人では、ワークライフバランスの実現も認定基準に設定されていることからもこれからの働き方において大事なものになっている。
健康経営のメリット
1. 労働生産性の向上
健康経営を推進することで、従業員のパフォーマンスを最大限に引き出せるようになり、全社的に労働生産性が向上します。
また、過労・メンタル不調による従業員の欠勤・休職が発生している状態(アブセンティーズム)では、他の従業員の負担が重くなり、他の従業員も健康状態を崩したり、離職したりするケースが増え、労働環境が悪化してしまいます。
2. 離職率の低下と人材の定着
健康やメンタルに不調がある従業員が多いと、離職率が高止まりしてしまっているので、健康経営の実現で、従業員の離職率を低下させ人材の定着を促進できるのも大きなメリットです。
また、従業員の早期退職で会社が負担するコストの大きさを考えると、健康経営に取り組むメリットは大きいでしょう。
3. リクルート面(求職者へのアピール及び採用活動の強化)
健康経営への取り組みを積極的にPRすることで、求職者へのアピールになります。
ごく一部の大企業・有名企業を除き、多くの会社の知名度はあまり無いのが現状です・
そこで健康経営の活動を告知することで、他企業との差別化につながり、求職者に向けた大きなアピールになるでしょう。
4. 会社の知名度・ブランドイメージのアップ
社員の健康づくりを増進している会社であることをHPなどでアピールすることで、ブランディングを実現できます。広告費に予算をかけられない中小企業にとっては、会社の知名度をコストをかけずに上昇できる可能性もあります。
次回では、健康経営の具体的な進め方について話していきたいと思います。